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映像制作のヒントになること

消え行くドキュメンタリー作家たちへ

消え行くドキュメンタリー作家たちへ

ドキュメンタリーを作る―テレビ番組制作・授業と実践

たまには本の紹介でもしておこう。
これはNHKのプロデューサーである山登義明氏が京都大学で教鞭をとり、ドキュメンタリー番組制作の授業と実践をまとめたものだ。
個人的には近年ドキュメンタリーを制作できるディレクターは減少傾向にあると感じている。私は東海地方で活動しているが、一体この地方に何人のディレクターが活動しているのだろうか?
なかでもテレビ局で働く制作人間が実は「ドキュメンタリー未経験」という輩がかなり多いというのだから驚く。この先映像制作に携わる人間であればドキュメンタリーは必ず通っておかなくてはならない関所だ。情報番組やお笑いが氾濫するコンテンツの洪水のなかで時代は必ずドキュメンタリーに帰結する。
ドキュメンタリーという映像手法は映画史が始まって以来現在も消えることなく生き続けている。リュミエール兄弟だってドキュメンタリー作家なのだ!
だからこそ、
今ドキュメンタリーをしっかりと作れるディレクターは貴重だ。
さて、本書はテレビ番組制作には全くの素人である京大生にドキュメンタリー番組を制作してもらおうという試みを本にまとめたものだ。ドキュメンタリー番組はカットという事実の積み重ねで構成した映像が実は作為的な作品に仕上がる、というメディアリテラシーにはもってこいの番組形態といえる。人間という他者のフィルターを通すだけで、その事実は偏向されてしまうのだ。
学生たちもそのことに目覚めながらテレビ番組制作者と同じように番組を作っていく。テレビに携わっている人間であれば当然の意識もそうでない人にとっては全く目からウロコなことなのだ。
近頃のテレビ制作者諸君はこうした意識すら持ち合わせていない人たちも多いことと思う。この業界は指導やマニュアル、伝授といったことがないがしろにされてきたからだ。業界自体のプロの育成に対する怠慢は責任重大といわざるをえない。だからこそ、せめてこうした著作物に目を通して思いを新たにしていただけたらと思わずにはいられない。

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